疲れた体を癒やすには、なんといってもアロマバスが一番! あったかーいお湯につかり、心地よい香りに包まれれば、心も体もリラックスできます。
仕事や家事の疲れもみんな忘れて、自分だけの贅沢なひとときを楽しむことができるアロマバス。ぜひ、日々のストレス解消やリフレッシュにお役立てください。
このページでは、前半でアロマバスの注意点やコツなどを一通り説明し、後半ではおすすめのエッセンシャルオイルやレシピなどをご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。
アロマバスとは? 香りと入浴のすごい効果
アロマバスは、エッセンシャルオイル(精油)の香りを楽しみながら入浴する方法です。アロマテラピーを気軽に楽しむ方法として、大変人気があります。
多くの人が経験しているとおり、そもそも入浴には高いリラックス効果があります。入浴は血行を促進し、筋肉のこりも和らげてくれます。温まった体温がじょじょに下がっていくときに眠気を誘発するので、睡眠の質を改善する効果もあります。
そこに香りによる効果をプラスできるのが、アロマバスのいいところです。リラックスやリフレッシュの効果はもちろん、睡眠を促したり、ホルモンバランスを整えたり、のどや鼻の不調を和らげたりなど、精油によって様々な効果・効能があります。「入浴」と「香り」の相乗効果を期待できるのが、アロマバスの重要なポイントです。
全身浴と半身浴、どちらが良い?
アロマバスは全身浴でも半身浴でも楽しめます。お好きな方で構いませんが、おすすめは「半身浴」です。
半身浴は、みぞおちくらいまでのぬるめのお湯にゆっくりとつかり、胸から上は濡らさない入浴方法。あまり寒くない初夏から秋ごろまでは、特に半身浴を楽しみやすいシーズンです。15分から30分、ゆったりとお湯につかって、汗をかきましょう。
以下に半身浴のメリットを見ておきましょう。
- 血行促進:長くお湯につかれるため、温まる効果が高く、血行促進効果が期待できる
- 冷え性改善:血行が促進されることで、冷え性改善効果が期待できる
- 疲労回復:筋肉の緊張をほぐし、疲労回復効果が期待できる
- 美肌効果:発汗により古い角質や老廃物が排出され、美肌効果が期待できる
- リラックス効果:副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスできる
- 不眠の改善:副交感神経が優位になることで寝つきが良くなり、睡眠の質の向上が期待できる
なお、半身浴を行う際には、以下の点に注意しましょう。
- 脱水にならないように、入浴前や入浴中にしっかりと水分補給をする
- 上半身が寒いときは、乾いたバスタオルなどをかけておく
- 飲酒後や空腹時は、原則として避ける
- 高血圧や心臓疾患のある人は長時間の半身浴は避ける
バスソルトでさらに効果をプラス
アロマバスを行う際に、天然塩を入れるのもおすすめの方法です。1回の入浴で天然塩50gくらいが適量。しっかりとかき混ぜて溶かし、入浴します。
天然塩に含まれるミネラル分が、さらに血行を促進し、発汗を促してくれます。入浴の効果を高めたいときには、ぜひ活用してください。
肌当たりをよくする、正しいアロマバスのやり方
アロマバスでもっとも気をつけるべきポイントは、「エッセンシャルオイルは水に溶けない」ということです。オイルは「油」ですので、水と混ざりにくい性質があります。そのため、湯船に精油をたらすと、精油がそのままお湯の上にぷかぷか浮かんで混ざらない、ということになってしまいます。
精油がお湯に浮かぶこと自体は構わないのですが、精油の原液がお肌に直接ついてしまうのは問題です。精油は天然の産物ではありますが、自然の状態よりもはるかに濃縮されています。天然だからお肌にも安全というわけではありません。精油の種類によっては、お肌に刺激を与えてしまう場合もあります。
したがって、アロマバスをおこなうにあたっては、できるだけ精油を直接お肌にふれさせないように、①何らかの材料で希釈する、②乳化剤を使って水と混ぜ合わせる、ということを考えましょう。
キャリアオイル(植物油)で希釈する
ホホバオイルやスイートアーモンドオイルなどの少量のキャリアオイル(植物油)に精油を混ぜ、それをお風呂に入れる、という方法です。
肌あたりは非常にマイルドになりますので、刺激は感じにくくなります。キャリアオイルの力でお肌がしっとりするというメリットもあります。もちろんオイルですので、お湯の上にオイルが浮かぶことになりますし、浴槽が少しベタつく場合もあります。
乳化剤(エタノール、グリセリン、バスベース)を使って、水と混ぜる
精油と水は混ざりませんが、世の中には、水にも溶け(親水性)、油にも溶ける(親油性)という性質をもった液体があります。そういったものを「つなぎ」として使うことで、精油と水を混ぜ合わせることができます。これを「乳化」(にゅうか)と言います。
乳化剤としてもっとも入手しやすいのは「エタノール」です。ドラッグストアで販売しています。エタノールは水とも油とも混ざる性質がありますので、まず精油5-6滴を10mlほどのエタノールに混ぜ、それからお風呂に入れると良いでしょう。必ずしも100%の無水エタノールでなくても、高濃度であれば大丈夫です。
エタノールに精油を混ぜると白く濁る場合がありますが、問題はありません。保湿剤として知られる「植物性グリセリン」も、エタノールと同じように使用できます。
アロマバス専用の乳化剤を使うのも良い方法です。「バスベース」という商品名でよく販売されています。10ml程度のバスベースに精油を混ぜて、それをお風呂に入れます。
牛乳、はちみつを使う
適量の牛乳やハチミツに精油を混ぜて、お風呂に入れる方法もあります。多少、肌あたりは良くなります。食品を使うことに抵抗がなければ、選択肢として考えても良いでしょう。
アロマバスで注意するべき精油
柑橘系の精油に気をつけよう
スイートオレンジなどの柑橘系の精油を使った場合、お肌にピリピリとした刺激を感じる場合があります。こうした刺激に対する反応には、個人差があります。お肌に刺激やかゆみ、赤みなどの異常を感じた場合は、できるだけその精油の使用は中止しましょう。
冬場のペパーミントには要注意!
ペパーミントは人気の高い精油のひとつですが、体を冷やす作用が非常に高いため、アロマバスでは注意が必要です。夏の暑いときに上手に使えば、火照った体をうまく冷やすこともできますが、うっかり冬場などに使ってしまうと、体が冷えすぎて風邪を引いてしまう場合もあります。
香りが強い、花の香りにご用心!
フローラル系の香りに多いのですが、香りの強い精油をアロマバスで使うときも注意が必要です。特にイランイランやジャスミン、クラリセージなど、香りの強い精油を使う場合は、1滴からスタートして様子をみるようにしましょう。
お風呂という狭い空間で香りの強い精油を大量に使うと、頭痛の原因になったり、また、気分が悪くなって吐いてしまうような場合もあります。少なめの精油からはじめる習慣をつけるようにしましょう。
皮膚刺激性があり、注意したほうがよい精油
以下の精油は皮膚刺激性が確認されているため、注意してお使い頂くか、またはアロマバスでの使用は避けたほうが良いでしょう。
精油名 | 学名 |
---|---|
オレガノ | Origanum vulgare |
クミン | Cuminum cyminum |
クローブ | Syzygium aromaticum |
シトロネラ | Cymbopogon nardus |
シナモンリーフ(葉)、シナモンバーク(樹皮) | Cinnamomum zeylanicum |
タイム・チモール | Thymus vulgaris |
タジェット(マリーゴールド) | Tagetes minuta |
ベイリーフ(ローレル) | Pimento racemosa |
レモングラス | Cymbopogon citratus |
レモンバーベナ | Lippia citriodora |
光毒性があり、注意したほうがよい精油
以下の精油には「光毒性」(ひかりどくせい)があり、お肌に使用した直後に日光に当たると、シミの原因になることがあります。アロマバスとして使用した場合は、少なくとも6時間以上は直射日光や日焼けマシーンを避けてください。
精油名 | 学名 |
---|---|
グレープフルーツ(圧搾法) | Citrus paradisi |
ビターオレンジ(圧搾法) | Citrus aurantium |
ベルガモット(圧搾法) | Citrus bergamia |
ライム(圧搾法) | Citrus aurantiifolia |
レモン(圧搾法) | Citrus limon |
※FCF(フロクマリンフリー)の表示のあるもの、水蒸気蒸留法によって抽出されたものには光毒性はありません。
アロマバスにおすすめのエッセンシャルオイル
以下は、目的別、効能別のおすすめエッセンシャルオイル(精油)です。香りの好みは人によって異なりますので、なるべくご自身の好きな香りをチョイスするようにしましょう。
使う精油の量は5~6滴くらいで大丈夫です。精油をブレンドするときは、合計で5~6滴にします。
物足りなければ倍くらい(10~12滴)までは増やしても構いませんが、それくらいを限度としましょう。もし、お肌にかゆみや刺激などがあるようでしたら、次からは精油の量を少なくするか、その精油の使用を中止してください。
目的、シチュエーション | おすすめ精油 |
---|---|
イライラ、ストレスの解消に | ラベンダー、ローズ、カモミール・ローマン、イランイラン、ベルガモットFCF、パチュリ、プチグレン、ベンゾイン |
寝付きをよくしたいときに | ラベンダー、スイートオレンジ、ネロリ、ベルガモット、カモミール・ローマン、ベチバー、サンダルウッド |
不安なとき、憂うつなときに | ゼラニウム、フランキンセンス、イランイラン、ネロリ、ベルガモット、グレープフルーツ |
無気力なとき、やる気を出したいときに | グレープフルーツ、ジュニパー、ゼラニウム、ローズマリー、ジャスミン |
ホルモンバランスの乱れ、月経痛に | クラリセージ、ネロリ、ローズ、マージョラム、ラベンダー、カモミール・ローマン |
せき、のどの痛み、鼻づまりに。呼吸の改善に | ユーカリ・グロブルス、ユーカリ・ラディアータ、ラベンダー、サイプレス、パイン、フランキンセンス、ベンゾイン、ローズマリー、マージョラム |
手足の疲れ、むくみに | サイプレス、ジュニパー、ラベンダー、ローズマリー、マージョラム |
ダイエットしたいときに | グレープフルーツ、ジュニパー、サイプレス、ローズマリー、ブラックペッパー |
花粉症に | ユーカリ・グロブルス、ユーカリ・ラディアータ、ペパーミント、ローズ |
冷え性に | シナモン、スイートオレンジ、ラベンダー、ローズマリー、ネロリ、マージョラム、ジンジャー、ブラックペッパー |
アロマバスおすすめレシピ
以下はアロマバスのおすすめレシピです。
ブレンドに正解はありませんので、精油の種類も滴数もご自由にアレンジして、お好きな香りを楽しんでください。
ストレス解消に、リラックスに
【レシピ1】
・ラベンダー: 3滴
・スイートオレンジ: 2滴
・ベルガモットFCF: 1滴
【レシピ2】
・ラベンダー: 3滴
・カモミール・ローマン: 2滴
・イランイラン: 1滴
【レシピ3】
・ラベンダー: 2滴
・ローズ: 2滴
・パチュリ 1滴
寝付きを良くしたいときに、安眠に
【レシピ1】
・ベルガモットFCF:2滴
・スイートオレンジ:2滴
・ネロリ:1滴
【レシピ2】
・ラベンダー:3滴
・カモミール・ローマン:3滴
【レシピ3】
・ラベンダー:3滴
・スイートオレンジ:2滴
・イランイラン:1滴
不安なとき、憂うつなときに
【レシピ1】
・イランイラン:2滴
・ゼラニウム:2滴
・ベルガモット:1滴
【レシピ2】
・ゼラニウム:2滴
・グレープフルーツ:2滴
・ベルガモット:2滴
【レシピ3】
・ネロリ:3滴
・イランイラン:2滴
ホルモンバランスの乱れ、月経痛に
【レシピ1】
・ラベンダー:3滴
・クラリセージ:2滴
【レシピ2】
・ラベンダー:2滴
・カモミール・ローマン:2滴
・マージョラム:2滴
【レシピ3】
・クラリセージ:2滴
・ローズ:2滴
せき、のどの痛み、鼻づまりに
【レシピ1】
・ユーカリ・ラディアータ:3滴
・ラベンダー:3滴
【レシピ2】
・ユーカリ・グロブルス:2滴
・サイプレス:2滴
・パイン:2滴
【レシピ3】
・ユーカリ・ラディアータ:4滴
・ラベンダー:2滴
・マージョラム:2滴
手足の疲れ、むくみに
【レシピ1】
・マージョラム:3滴
・ローズマリー:2滴
・ブラック・ペッパー:1滴
【レシピ2】
・サイプレス:2滴
・ジュニパー:2滴
・ローズマリー:2滴
【レシピ3】
・マージョラム:4滴
・ラベンダー:2滴
冷え性に
【レシピ1】
・ラベンダー:2滴
・マージョラム:2滴
・ジンジャー:1滴
【レシピ2】
・ローズマリー:2滴
・クラリセージ:2滴
・ブラックペッパー:1滴
【レシピ3】
・スイートオレンジ:3滴
・シナモン:1滴
・ジンジャー:1滴
アロマバスの後のお風呂のお手入れはどうするの?
お風呂のお手入れは、いつも通りで大丈夫です。スポンジにお風呂用の中性洗剤をつけて、浴槽を洗ってください。キャリアオイルを使って希釈した場合は油分が多めになりますので、しっかりと洗ったほうが良いでしょう。
一般のご家庭用のお風呂であれば、アロマバスによって浴槽を傷めるようなことはありません。ヒノキのお風呂など木材を使ったお風呂は、シミになる場合もありますので、避けたほうが良いでしょう。
油分が床に付着すると、床がすべりやすくなります。転倒しないよう、十分に気をつけてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
アロマバスは、エッセンシャルオイルの香りを楽しみながら入浴する方法。入浴のリラックス効果にエッセンシャルオイルの効果をプラスできる、とてもすぐれた楽しみ方です。
エッセンシャルオイルの中には、皮膚刺激性や光毒性をもったものもあります。種類や量などに注意しながら、ご自分だけの心地よいひとときをぜひお楽しみください。