アロマテラピーと合成香料について。精油とは違うの?

  • URLをコピーしました!

アロマテラピーでは、天然のエッセンシャルオイル(精油)を使用します。

では、アロマで「合成香料」は使われないのでしょうか? 
そもそも、「天然」と「合成」とは、いったい何が違うのでしょうか?

このページでは、アロマテラピーという観点から「合成香料」について考えます。

目次

天然香料と合成香料の違い

天然香料と合成香料は、原料や製造プロセスの違いによって分類されます。

天然香料は、植物から抽出される天然の香料です。エッセンシャルオイル(精油)は、植物の花や葉、根、茎、枝、果皮、樹皮などから抽出される天然100%の芳香物質ですので、天然香料として分類されます。ラベンダーやオレンジ、ローズなど、いわゆる精油は天然香料になります。

一方、合成香料は化学的な反応を利用して人工的につくった香料です。原料としては石油や石炭、パルプなどから得られるものもあれば、天然の素材から合成して得られるものもあります

「動物性」の天然香料について

動物から得られる天然香料というのは少なく、ジャコウジカから得られるムスク、マッコウクジラから得られるアンバーグリス、ジャコウネコから得られるシベット、ビーバーから得られるカストリウムが代表的です。(ただ、動物保護の観点から、現在はほとんどが合成香料で代替されています。)
ちなみに、エビやカニ、かつお節などの抽出エキスが、動物性天然香料として利用されることもあります。

絶滅危惧種のマッコウクジラ。アンバーグリス(竜涎香)はその「結石」です。海辺で拾ったら大金持ちに!?

精油に合成香料が使われることはあるのか

エッセンシャルオイル(精油)は天然香料になりますので、100%ピュア&ナチュラルと表示される精油を利用する限り、そこに合成香料が含まれることはありません。

アロマテラピーは、自然の産物である精油の香りや成分を利用して健康や美容に働きかける、というのが基本的な考え方になりますので、合成香料を使用したり、精油に合成香料を添加することは、アロマテラピーの原則に反するものです。

ただし、精油メーカーなどによっては合成香料がこっそり添加されている可能性も(残念ながら)ゼロではありません。このあたりの事情は、以下のページをお読みください。

合成香料のメリットとデメリット

エッセンシャルオイルという天然の香料があるのに、なぜ合成香料が必要になるのでしょうか? それは端的に言えば、天然の香料(エッセンシャルオイル)が高いからです。また、香りや品質が一定しないのも、自然由来の天然香料の欠点といえます。

合成香料は、そういった天然香料の欠点をおぎなうために生まれてきました。ジュース、お酒、お菓子、石けん、シャンプー、化粧品、香水、洗剤、芳香剤などなど、あらゆるものに香料が使われていますが、大量消費する製品については、低コストで、かつ品質の一定している合成香料が向いています。

合成香料のメリット
  • 天然香料よりも圧倒的に安価に生産できるため、製造コストを抑えることができる。
  • 天然香料は産地や収穫時期によって品質にバラつきが出てしまうが、合成香料は一定の品質を維持できる
合成香料のデメリット
  • 合成香料に含まれる化学物質が健康に悪影響を与える可能性がある
  • 合成香料の製造過程や廃棄物処理によって環境への負荷が増大する

合成香料の危険性

合成香料に危険はないのでしょうか? 
すべての合成香料に問題があるわけではありませんが、ごく一部の化学物質にはアレルギー反応を引き起こす可能性あることが指摘されています。これらの物質は、皮膚に接触することで発疹やかゆみを引き起こすことがあります。また、吸入することで呼吸器系に影響を及ぼし、喘息発作を誘発することもあります。

また、合成香料に含まれる物質がホルモンバランスに影響を及ぼす可能性も指摘されています。
これらの物質は「内分泌かく乱物質」と呼ばれ、ホルモンに似た構造を持っているため、体内のホルモンと同じように働き、正常なホルモンバランスを乱すことがあります。これにより、生殖機能や免疫機能に影響を及ぼす可能性があります。

ネイチャーアイデンティカルとは

もちろん、合成香料だから問題だというわけではありません。天然の香料の中にもアレルギーを引き起こす成分はたくさんありますし、合成香料の中にも人体にほとんど影響のないものもたくさんあります。

食品に使われる合成香料のほとんどは無害です。これらの合成香料は、天然の成分とまったく同じ構造の成分を人工的に作り上げたもので、「ネイチャーアイデンティカル」と呼ばれます。人工的に作られてはいますが、人体への作用は天然の成分とまったく同じです。

食品に添加しても良い合成香料の種類は食品衛生法によって管理されており、安全性が担保されています。

ごくまれに、精油の品質を改善するためにネイチャーアイデンティカルの成分を添加する場合があります。また、ネイチャーアイデンティカルの成分をつぎはぎして、精油そっくりの香りを作り出すことがあります。このような精油(合成精油)は使ってもよいのでしょうか?

精油というのは、数十から数百もの天然の成分によって構成された有機化合物です。無数の微量成分を含んだ複雑な芳香成分のハーモニーが、精油の香りや効能を生み出しているのです。成分の一部を合成香料に置き換えたり、合成香料のみで精油をつくっても、自然本来の植物の恵みをそこから受けることはできません。

本物のアロマテラピーを楽しみたい方は、このような合成精油の使用は避けるべきでしょう。

まとめ

天然香料と合成香料は、原料と製造プロセスの違いによって区別されます。本物のアロマテラピーを楽しみたい場合は、合成香料の使用は避け、天然の香料であるエッセンシャルオイル(精油)を使用してください。

ちなみに、合成香料には健康や環境への影響が懸念される一方、コストダウンや品質の維持がしやすいといったメリットもあります。アロマテラピーでは使用されませんが、食品や日用品など多くの商品にとっては欠くことのできないものです。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次