
フランキンセンスは・・・すごくいい香りね。スッキリしてて、スパイシー? でも、クセになりそうな香り

そうですね。フランキンセンスはキリスト誕生の贈り物としても有名で、当時は黄金なみに貴重だったそうですよ

へぇ~、二千年も前から使われてるのね。今はリラックスに使う人が多いの?

それもありますが、スキンケアとしても人気が高いですね。以下で詳しく見ていきましょう
フランキンセンス(乳香)ってどんな精油?

どんな香り?
ほのかにレモン様の匂いが漂う、ウッディーでスパイシーな香り
どんな植物?
フランキンセンスは中東が原産の常緑低木。3~6mくらいの高さにまで成長します。ソマリアやエチオピア、レバノンなどの乾燥した半砂漠地帯に育ちます。
この木の樹皮に切れ込みを入れると、ミルクのような乳白色の樹液がにじみ出てきます。そのため、フランキンセンスは別名、乳香(にゅうこう)とも呼ばれます。
エピソードや歴史、豆知識など
英名のフランキンセンスは、古いフランス語の「真の香り」が由来となっています。また、アラビア語やラテン語では「オリバナム」と呼ばれますが、これは「レバノンを経由した」「白い」「油」などが由来となって出来た言葉だと推測されています。
フランキンセンスの香りは、紀元前の時代から薫香として用いられ、神聖な儀式には欠かせないものでした。古代エジプト人は莫大な富を費やして、これをフェニキア人から輸入していました。
フランキンセンスは当時から黄金並みに貴重な存在で、イエス・キリストの誕生を祝う品としてミルラ(没薬)とともに捧げられたことでも有名です。
フランキンセンス精油のプロフィール

エッセンシャルオイルデータ(学名、成分など)
英名 | Frankincense フランキンセンス / olibanum オリバナム |
---|---|
和名 | ニュウコウノキ |
学名 | Boswellia carterii Boswellia thurifera |
科名 | カンラン科 |
抽出部位 | 樹脂 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
主な産地 | ソマリア、エチオピア、オマーン |
主な成分 | α-ピネン(35.1%)、リモネン(9.98%)、α-ツジェン(7.11%)、ミルセン(3.92%)、β-ピネン(3.21%)、サビネン(2.7%)など |
主な効能、効果 | 鎮静、強壮、抗うつ、組織細胞再生・活性、抗菌、収れん、抗カタル、去痰、鎮痛、免疫強壮 |
香りの系統 | 樹脂系 |
香りのノート | ベースノート |
フランキンセンス精油の主な成分と作用

Essential Oils Chromatograph Analysis and Potency in Breast Cancer Therapy
α-ピネン(35.1%)
フランキンセンスの主要成分であるα-ピネンは、清涼感のある心地よい香りを持っています。この成分には炎症を抑える作用や抗菌効果があり、肌の炎症を抑えたり、呼吸を楽にする働きがあります。また、気分をリフレッシュさせる効果もあり、集中力を高めたいときにも重宝されます。
リモネン(9.98%)
リモネンは、柑橘系を思わせる爽やかな香りがあり、心を明るくして、ストレスを和らげてくれます。抗酸化作用に優れ、肌のエイジングケアにも有用です。また、抗菌作用・抗ウイルス作用があるため、日常の健康管理にも一役買ってくれます。心と体の両方にポジティブな影響を与えてくれる成分です。
α-ツジェン(7.11%)
α-ツジェンは、フランキンセンスの深みのある香りを作り出す成分の一つで、穏やかな抗菌作用や防腐作用が知られています。この成分は肌の保護や傷のケアに役立ち、特に乾燥や外的刺激からお肌を守る働きがあります。落ち着いた香りが心を穏やかにし、リラクゼーション効果も高めます。
ミルセン(3.92%)
ミルセンは、心身をリラックスさせることで知られる成分で、特に睡眠をサポートしたいときに効果的です。緊張を和らげ、穏やかな気持ちに導くため、ストレスの多い日常に癒しをもたらしてくれます。また、肌の炎症を鎮める作用があり、スキンケアの一環としても活用されています。
β-ピネン(3.21%)
β-ピネンは、α-ピネンと似た爽やかな香りを持ち、気分を整える効果があります。この成分は、呼吸器のケアや抗菌作用にも優れており、風邪の予防に役立つことで知られています。また、頭をスッキリさせたいときや気分転換をしたいときにもおすすめです。
サビネン(2.7%)
サビネンは、ほのかなスパイシーさと温かみのある香りが特徴です。免疫力を高める働きがあり、特に風邪の季節や季節の変わり目の体調を崩しやすい時期に頼りになります。抗菌・抗炎症作用もあり、肌のケアにも役立ちます。健康をサポートしつつ、穏やかで安心感を与えてくれる成分です。
フランキンセンス(乳香)の効能や効果

こころに対する効能
- 不安や強迫観念をとりのぞき、気持ちを穏やかにする
- 心に元気を与え、リフレッシュさせる
からだに対する効能
- 呼吸器に働きかけ、息切れ、せき、ぜんそく、のどの痛みなどを改善する
- 子宮の強壮剤として働く
- 消化を助け、胃腸の働きを促進する
肌に対する効能
- 老化した肌に活力を与え、しわやたるみを改善する
- 皮脂の分泌のバランスを整える
- 傷やただれ、炎症を改善する
専門家からのアドバイス(注意点なども)


元AEAJアロマテラピーインストラクターで、20年以上アロマ業界にいた私から一言
儀式や薫香という言葉を聞くと、なかなか手を出しにくい精油のように感じますが、実際のフランキンセンスの香りは想像よりもはるかに爽やかで、多くの人に好まれる香りです。スパイシーな中にも、どことなくレモンのような香りも感じられて、とても親しみがもてる香りと言えるでしょう。黄金のような大金を払わなくてもこの香りが楽しめる現代人は、むしろ幸せかもしれません。
リラックス精油としても人気のフランキンセンスですが、スキンケアにもよく利用されています。しわやたるみにお悩みの方は、ぜひフランキンセンスでマッサージオイルを作り、就寝前にマッサージしてみましょう。
アロマセラピストコラム(体験談やおすすめの楽しみ方)

アロマセラピストの知人に、体験談やおすすめの楽しみ方、レシピなどを聞きました
最初に購入する精油にフランキンセンスを選ぶ人は少ないと思いますが、この香りを体験すると、「意外にいい香りがする!」と言う人が多いです。精油のエピソードだけを聞いていると、どうも香りが想像しにくいのですが、すっきりとした、クセのないスパイシーな香りで、意外と好まれるようです。
私はこの精油を使った室内での芳香浴がとても好きで、何かにつけてこの香りを使うことが多いです。独特の世界観を持つ精油なので、ブレンドするときはラベンダーやパチュリー、サンダルウッドといった、同じように個性の強い精油とあわせることが多いですね。
柑橘系の精油(中でもオレンジスイートやベルガモット、マンダリン)との相性もいいように思います。特にオレンジとフランキンセンスの組み合わせは、オレンジの明るく無邪気な香りと、フランキンセンスの冷静ながら暖かい香りとがあいまって、緊張や不安を取り除くのにとてもいいと思います。深く落ち込んでしまったときに私がよく使うブレンドの1つです。
私は安眠用のブレンドオイルを枕元に置いて寝ることが多いのですが、そこでもこの精油をよく使っています(ちなみにこれはフランキンセンスとラベンダー、オレンジのブレンドです)。
ゆったりとした雰囲気を持つ香りなので、この香りを使うと、リラックスして深呼吸することの大切さを思い出します。
フランキンセンス(乳香)のおすすめの使い方

お肌のお手入れに、しわやたるみに
お肌のお手入れに、フランキンセンスを使ったフェイシャルスチームをしてみましょう。洗面器に熱いお湯を張り、フランキンセンスの精油を2~3滴を落として、立ち上る蒸気を5分ほどお肌に当てます。バスタオルなどを使って頭の上から覆うと、蒸気が逃げにくくなるため効果的です。
老化肌にお悩みの方には、フランキンセンスを使ったマッサージがおすすめです。ホホバオイルなどのキャリアオイルにフランキンセンスを数滴ブレンドし、やさしくマッサージしてみましょう。
お肌に栄養分を取り入れたいときは、ホホバオイルの代わりにスイートアーモンドオイルやピーチカーネルオイルを使うと、よりリッチなマッサージオイルになります。ラベンダーやゼラニウム、ネロリとのブレンドもおすすめです。


心を落ち着けたいときに
不安を鎮めて心を落ち着けたいときは、ティッシュやハンカチにフランキンセンスを1、2滴たらして、ゆっくりと吸い込んでみましょう。目をつぶり、深呼吸をするようにゆっくりと呼吸をすると効果的です。
自宅にいるときには、アロマポットやアロマライトでお部屋に香りを広げてみましょう。ラベンダーやオレンジ、サンダルウッドなどをブレンドしても良いでしょう。

かぜをひいてつらいとき、心が折れそうなとき
かぜをひいてベッドの上でゼイゼイ、心細くて泣きそう--。そんなときにもフランキンセンスの香りがやさしくいたわってくれます。
アロマライトやアロマディフューザーでお部屋に香りを広げたり、フランキンセンスを使ったマッサージオイルで背中や胸などをさすってみましょう。ラベンダーやユーカリをブレンドしても良いでしょう。
フランキンセンス(乳香)と相性の良い精油

スイートオレンジ、グレープフルーツ、サンダルウッド、ゼラニウム、バジル、パチュリ、メリッサ、ラベンダー
いかがでしたでしょうか?
毎日の健康に、そして美容に、アロマテラピーをぜひ活用してください!